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特集 苫小牧の女性陶芸家


 陶芸の器は、「土の温もりが心地よい」と多くの人に愛用されています。女性たちによる作品は、作り手・使い手のどちらの立場も融合した美しさと機能性を兼ね備えています。芸術の秋、女性陶芸家のアトリエを訪ねてみました。


ずっと「趣味」として楽しんでいきたい
苫小牧市住吉町1 佐々木 禮子さん
女性ならではのアイデアが光る
花水窯
苫小牧市北光町4 ☎(0144)73-7860

 佐々木さん(73)は20年以上前から、苫小牧市文化会館の陶芸サークルや、明野新町の「陶洋窯(すえひろがま)」(中根洋男さん主宰)で作品づくりを楽しんでいる。ろくろはほとんど使わず、手びねりによる大胆な作風は、仲間からも「女性の作品とは思えない」と評判だ。10年ほど前には市の文化祭で、まるで穴が開いているような花器を作り市長賞を受賞。注目を集めた。
 「温かみのあるザラッとした感触の好き」と、古信楽の粘土がお気に入り。「赤、白、黒の粘土をブレンドして、その割合によってかける釉薬の色を決めるんですよ」。
 今年4月からは市内の養護老人ホーム「苫小牧静和荘」で月2回、陶芸サークルに所属するお年寄り8人を指導している。サークルは午後からだが、佐々木さんは朝9時すぎにはもう到着しているという。「お年寄りの作品の手直しをしたり、サークルの準備をしています」と、土に触ることを心底から楽しんでいる。
 現在、苫小牧市民活動センターで陶洋窯の生徒作品展を開催中(12日まで)。「作品展テーマの『酒器』を出品しているので、ぜひ見に来て下さい」と呼び掛けている。

 花水窯は開窯して13年。主宰する佐藤陽子さん(64)は以前、茶道を習っていたため、茶器を作ることが多かったという。女性ならではの視点で作られた作品は「手になじみやすく、使い勝手がいい」と根強いファンを持っている。
 お香立てや練り香入れ、花びらの形などに穴を開けてそこから明かりがもれてくるランプやアロマポットなど、アイデアが光るおしゃれな作品も。現在も、以前の茶道の先生や仲間から「お茶道具を作って」と注文が入るという。
 開いて12年になる陶芸教室は月曜日の午前と午後、水曜日の夜に開講。年末になると、干支づくりを指導し、生徒らに喜ばれている。新規の生徒も募集しているので、希望者は問い合わせを。


同じものができないという楽しみ
喜栄窯
苫小牧市しらかば町3 ☎(0144)72-6436
亡き夫が導いてくれた窯元展
夢草工房
苫小牧市沼ノ端948-87(バス停ウトナイ団地中央前)
☎(0144)57-4722
 20年前、次男の通う苫小牧豊川小学校の陶芸サークルに参加したのがきっかけ。「初めて土を触った時の楽しさは、まるで昨日のことのように思い出します」と、今も初心を忘れない。
 佐藤喜美子さん(59)は15年前、裏に窯の置けるスペースがある現在の家に越してきたという。電気の窯を持つ人が多い中、佐藤さんが選んだのは灯油窯。「空気を多く送ったり絞ったりする加減で仕上がりが変わるんです。灯油窯には、自分で最後まで調節する楽しみがあります」とその魅力を話す。
 作品づくりには、まず土を選ぶことから始まる。土のブレンドによって「この釉薬(ゆうやく)が合うんじゃないか」と考え、その釉薬をかける量やかけ合わせにも工夫が必要だという。「最初から最後まで、何通りも考えることがあり、同じものができないという楽しみがあるんです」と笑顔を見せる。
 開窯当時から、次男の友人の母親らが佐藤さんの作品を広めてくれて「最初からいろいろな人にお世話になり感謝しています」。作品展も市内だけでなく、札幌や小樽、大阪、京都などでも開いている。「今後も色をもっと工夫し、自分のレパートリーを増やしていきたい」とますます意欲を燃やしている。

 工房を主宰する桧山三代子さん(69)が陶芸を始めたのは50歳の頃。60歳で自宅に工房を持ち、夫の健治さんも窯を炊く手伝いをしてくれた。しかし、間もなく健治さんは病に倒れ、闘病の果てに他界したという。
 悲しみにくれる中、2004年の秋、陶芸家の友人が「仲間と窯元展を開こう」と声をかけてくれた。「夫が導いてくれたことのように思えた」と再び作品づくりに意欲を燃やし、以来、毎年秋に窯元展を行っている。
 7回目を迎える今年の窯元展は9月24、25、26日に開催。皿や小鉢などの日用雑器を約300点展示する。また、今年は桧山さんの孫・酒井多聞(たもん)くん(ウトナイ小5年)が作った、「夢」の字を甲羅に書いた亀の陶芸作品も登場する。ほかに、桧山さんの仲間が手作りした和布小物やバッグ、ポーチなども。
 大胆で遊び心いっぱいの作品に毎年、白老や登別、千歳、札幌などからもファンが駆けつけている。桧山さんは「今回は最終日に品薄にならないよう、頑張って作品を用意します」と話している。3日間とも午前10時から午後5時まで開催。